【建設業許可】営業所技術者(専任技術者)の実務経験10年を証明する方法

建設業許可申請において営業所技術者(旧称;専任技術者)は最も重要な要件のひとつです。営業所技術者は学歴や国家資格を有していない場合であっても10年の実務経験を証明することで要件に該当することができます。本記事では営業所技術者の実務経験10年を証明する方法について解説します。

この記事は行政書士西田直之が作成しました。

目次

建設業許可における営業所技術者のおさらい

営業所技術者とは営業所ごとに配置される請負契約の締結や工事の技術的な管理を行う専属の責任者であり、基本的には営業所で職務を行います。

一般建設業の要件は建設業法第7条第2号に、特定建設業は建設業法第15条第2号に営業所技術者の要件が規定されています。要約すると次の要件になります。

  • 大学や専門学校、高校等の指定学科を卒業+実務経験
  • 国家資格
  • 10年の実務経験

実務経験とは

許可を受けようとする建設工事の技術上の経験をいいます。工事施工の指揮監督や実際の施工に携わった経験のことです。

実務経験と認められる業務
  • 実際の施工:工事現場での施工作業や指揮・監督(現場監督)等
  • 見習期間中の技術習得:新人が熟練した技術者から技術を習得する期間も含まれます
  • 設計業務:発注者の立場から設計図を作成した場合も含まれます
実務経験と認められない業務
  • 一般的な事務
  • 工事現場での雑用
  • 無資格での電気工事・消防設備工事
  • 無登録業者での解体工事

注意:実務経験は重複できない

営業所技術者等になるための実務経験は、重複して計上することができません。
たとえば、10年の実務経験を証明して「板金工事」と「屋根工事」の営業所技術者になろうとする場合、それぞれ10年の実務経験が必要になります。つまり合計20年の実務経験が必要です。

ただし、土木一式工事又は建築一式工事と組み合わせることで重複して計上可能な業種があります。その場合は10年ではなく12年以上の実務経験が必要になるため、あまり使われていません。
また、一部の業種については、実務経験18年で一人で2業種の営業所技術者等になることができますが、こちらも結局はかなり長期の実務経験を要しますのであまり使われていません。

2業種以上で営業所技術者を配置する場合は複数名がそれぞれ1種類の営業所技術者を担当することが現実的かもしれません。

10年間の実務経験を証明するために必要となる書類

奈良県の建設業許可の手引きによると10年間の実務経験の確認書類は次のものが必要になります。

  • 実務経験証明書(様式第9号)
  • 工事実績が確認できる契約書類
  • 常勤性の証明書類

① 実務経験証明書(様式第9号)

実務経験証明書は被証明者ごとに作成し、証明したい職種の経験を記入していきます。被証明者の押印が必要になるため現在勤めている会社から発行してもらうことは容易ですが、以前に勤めていた会社の場合は難しいことも多いかもしれません。

実務経験証明書

【奈良県の場合】実務経験の考え方

実務経験の考え方は都道府県によって異なり、奈良県の場合は「1年に1件抽出」とされています。他府県であれば「1ケ月に1件」や「3ヶ月に1件」等もある中で、奈良県は緩やかな方だと考えています。

奈良県の「1年に1件抽出」はその年の内に1度でも工事実績があると、1年間の実績に計上することができます。

したがって上の「実務経験証明書」のサンプル画像のように1件の経歴で1月から12月の経歴をカバーできるような書き方になります。

② 実務経験証明書の内容を証明する資料

都道府県によって違いがありますが奈良県では①の実務経験証明書に記載された内容に対応する工事実績を証明する次のいずれかの書類を1年に1件分を提示します。

  • 契約書
  • 注文書
  • 請求書及び入金記録(領収書・通帳)
  • 決算変更届(証明者が建設業許可を受けている場合)

請求書には明確に工事内容の記載がされていないことがあるため、個人的には契約書や注文書が望ましいです。

③常勤性の証明書類

工事実績を証明したい期間中に常勤していたことを証明する下記資料を提出します。

法人での経験の場合
  • 被保険者記録照会回答票
  • 厚生年金の期間確認願に対する回答書
  • 雇用保険被保険者離職票
  • 健康保険厚生年金保険被保険者標準報酬額決定通知書(経験期間分)
個人での経験の場合
  • 資格情報のお知らせ
  • 資格確認書
  • マイナポータルに表示される被保険者資格情報のPDFファイルの印刷物
  • 被保険者記録照会回答票
  • 雇用保険被保険者離職票

被保険者記録照会回答票には年金に加入した時から現在までの勤務先が記載されているため、提出資料を少なくするという意味でもこれを準備すると便利です。

まとめ

営業所技術者を実務経験だけで認めてもらうことは、建設業許可申請のなかでも難易度が高い部分です。スムーズな許可には建設業許可に詳しい行政書士にご相談ください。

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